いよいよ日本時間の明日の朝には2017年トニー賞授賞式が開催されるので受賞予想を。
Best Musical ミュージカル作品賞
ストライクゾーンにハマらなかった身としては残念ですが、『ディア・エヴァン・ハンセン』が予想という意味では有力だと思います。個人的には奇跡が起こって『カム・フロム・アウェイ』が受賞することを期待したいです。興行的に作品賞を最も必要としているのは『ナターシャ、ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』と『恋はデジャ・ブ』。
今シーズンの作品賞ノミネートのラインナップは多様性に富んでいて本当に面白く、素敵だったと思います。ピューリッツァー賞レベルの作品はなかったし、決してミュージカルが強いシーズンではなかったように感じますが、「こんなにもいろいろな作品があって、やっぱりブロードウェイって楽しい!」と思えました。
ちなみに個人的な気に入り具合はこちらで書いた通り、『カム・フロム・アウェイ』>『恋はデジャ・ブ』>『ディア・エヴァン・ハンセン』>『ナターシャ、ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』。賞に振り回されず、気に入ったものは気に入ったものとして、その感覚を大事にしたいです。どれも本当に違った良さと魅力を持っているので、夏などにニューヨークに行かれる方は是非受賞作に拘らず観てみてください。
Best Revival of a Musical ミュージカルリバイバル作品賞
『ハロー・ドーリー!』か、そうでなければ『ファルセットズ』。『ファルセットズ』は終わっているし、『ハロー・ドーリー!』はチケットが売れているし、『ミス・サイゴン』は千秋楽が決まっているし、あまり気にしなくてもよい部門かも・・。
Best Performance by an Actor in a Leading Role in a Musical ミュージカル主演男優賞
獲るのは『ディア・エヴァン・ハンセン』のベン・プラットかな。年齢とのめり込み具合を考えたら彼にあげないわけにはいかないと思います。でも、『恋はデジャ・ブ』のアンディ・カールが受賞できないのは本当に勿体ないです。怪我を押して出演しているからという理由ではなく、コメディの主演として素晴らしかった。時の運ってやつですね・・。
Best Performance by an Actress in a Leading Role in a Musical ミュージカル主演女優賞
『ウォー・ペイント』を観ていませんが、『ハロー・ドーリー!』のベット・ミドラーでよいと思います。万が一、若手が受賞することがあるのならデニー・ベントン。
Best Performance by an Actor in a Featured Role in a Musical ミュージカル助演男優賞
ここ、いちばんわかりません。獲りそうという意味では『ハロー・ドーリー!』のギャヴィン・クリールですかね・・。もしくは、私が観ていない『ファルセットズ』のアンドリュー・ラネルズなのかも。個人的には『ナターシャ、ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』で異色の輝きを見せていたルーカス・スティールが希望です。
Best Performance by an Actress in a Featured Role in a Musical ミュージカル助演女優賞
ここも混戦。アウター・クリティクス・サークル賞とドラマ・デスク賞を制したジェン・コレッラと、今年の両賞の選考対象外だったレイチェル・ベイ・ジョーンズのどちらかになると思いますが、私は迷わず『ディア・エヴァン・ハンセン』のレイチェル・ベイ・ジョーンズに一票。彼女は彼女だからこそ与えられる輝きを作品と役に付加していましたから。
『ファルセットズ』のステファニー・J・ブロックも人気なのですが、上演中の作品に超有力な候補がいるので、さすがにここは『ファルセットズ』に流れることはないように思います。
Best Book of a Musical ミュージカル脚本賞
積極的に選びにくい部門。私はモラル的に好きではありませんが、『ディア・エヴァン・ハンセン』が妥当かなと思います。『カム・フロム・アウェイ』は脚本がいいのか題材がいいのかちょっとわからない感じだし、『ナターシャ、ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』も脚本が印象に残ったという人は少ないだろうし・・。
Best Original Score (Music and/or Lyrics) Written for the Theatre 楽曲賞
ここも積極的には選びにくいですが、まぁ『ディア・エヴァン・ハンセン』かな。そうでなければ、『ナターシャ、ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』が獲ると思います。『カム・フロム・アウェイ』は楽曲が弱いですし、『恋はデジャ・ブ』も上記2つを押さえて受賞するとは考えにくいですから。
Best Scenic Design in a Musical ミュージカル装置デザイン賞
まず間違いなく『ナターシャ、ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』が受賞すると思います。あそこまでやって受賞できなかったらちょっとね・・。『恋はデジャ・ブ』がとてもよかったので惜しい・・。
Best Costume Design in a Musical ミュージカル衣装デザイン賞
『ナターシャ、ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』でよいのではないかと思います。『ウォー・ペイント』や『アナスタシア』、『ハロー・ドーリー!』へ行ったらそれはそれでよし。
Best Lighting Design of a Musical ミュージカル照明デザイン賞
ここも多分『ナターシャ、ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』で決まり。
Best Direction of a Musical ミュージカル演出賞
ここは微妙。受賞予想という意味では『ディア・エヴァン・ハンセン』が有力だと思いますが、斬新さやユニークさという意味では、『ナターシャ、ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』や『カム・ロム・アウェイ』のほうが個人的には上だと思います。
Best Choreography 振付賞
ここはノミネート作のうち2作しか見ていないのでわかりませんが、私が観た中では『ナターシャ、ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』。『ナターシャ、ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』が獲らなければ、私が観ていない『バンドスタンド』に行きそう。
Best Orchestrations 編曲賞
ここはいろいろな理由で『ナターシャ、ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』に落ち着くのではないかと思います。
総括
個人的には助演男優賞と演出賞の行方がいちばん気になります。(マニアックですみません・・。)
『ディア・エヴァン・ハンセン』には主演男優賞と助演女優賞を是非持ち帰っていただきたい。作品賞、楽曲賞、脚本賞も多分持ち帰るかな・・。
『ナターシャ、ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』は装置デザイン賞、照明デザイン賞、編曲賞はほぼ間違いなし。衣装デザイン賞と振付賞もそこそこ可能性がある。期待はできませんが、演出賞と助演男優賞が転がり込んでくることも考えられます。作品賞、脚本賞、楽曲賞は難しそうですが、受賞数ではもしかすると『ディア・エヴァン・ハンセン』と同じか上回る結果になるかも。
『カム・フロム・アウェイ』は、失礼ながらノミネートされている7部門中3部門(照明賞、振付賞、編曲賞)の受賞の可能性がほぼゼロ。残りの作品賞、脚本賞、演出賞、助演女優賞もすべて『ディア・エヴァン・ハンセン』を押さえなければいけないので、受賞できなくても仕方ないです・・。作品賞だけを受賞するというドラマチックな結末を少しだけ期待。
『恋はデジャ・ブ』は7部門のノミネートも虚しく、多分全滅です。賞というのは残酷ですね・・。プロデューサーも自覚しているのか、ノミネート発表後も他の3作と比べると宣伝が控えめでした。でも、他の作品を押さえて受賞できそうな要素がなかったというだけで、全体としては非常にアーティスティックで魅力的な作品なので、なんとか授賞式でのパフォーマンスと口コミで広がってほしいです。ライセンスなどの方向で頑張って、この作品の魅力がわかる人のところへ持ち込まれますように・・。日本でも上演されないかなー。
ノミネート発表と注目作の感想は以下の記事へ。
- 2017年トニー賞ノミネート発表 – サプライズはある?
- ブロードウェイ感想①『カム・フロム・アウェイ』
- ブロードウェイ感想②『恋はデジャ・ブ』
- ブロードウェイ感想③『ハロー・ドーリー!』
- ブロードウェイ感想④『ディア・エヴァン・ハンセン』
- ブロードウェイ感想⑤『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』
- ブロードウェイ感想⑥『ミス・サイゴン』
- ブロードウェイ感想⑦『アナスタシア』
トニー賞前哨戦や最近のその他アワードの結果もご参考に。