ブロードウェイの2016〜2017年シーズンには、すでにクローズ済みのものとこれから開幕予定のものを含めて全部で13作の新作ミュージカルと6作のリバイバルミュージカルがあります。トニー賞を意識する時期になってきたので全ラインナップを整理しつつノミネートを軽〜く予想してみたいと思います。
今シーズンの新作ミュージカル13作を開幕日順(オープン順)に並べると以下のようになります。
- Paramour『パラモア』
プレビュー:2016年4月16日、オープン:2016年5月25日、クローズ:2017年4月16日 - Holiday Inn『ホリデー・イン』
プレビュー:2016年9月1日、オープン:2016年10月6日、クローズ:2017年1月15日 - Natasha, Pierre and the Great Comet of 1812『ナターシャ、ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』
プレビュー:2016年10月18日、オープン:2016年11月14日 - A Bronx Tale『ブロンクス物語』
プレビュー:2016年11月3日、オープン:2016年12月1日 - Dear Evan Hansen『ディア・エヴァン・ハンセン』
プレビュー:2016年11月14日、オープン:2016年12月4日 - In Transit『イン・トランジット』
プレビュー:2016年11月10日、オープン:2016年12月11日 - Come From Away『カム・フロム・アウェイ』
プレビュー:2017年2月18日、オープン:2017年3月12日
以上が正式に開幕済みで、以下はこれからオープンする作品です。
- Amélie『アメリ』
プレビュー:2017年3月9日、オープン:2017年4月4日 - War Paint『ウォー・ペイント』
プレビュー:2017年3月9日、オープン:2017年4月6日 - Groundhog Day『恋はデジャ・ブ』
プレビュー:2017年3月16日、オープン:2017年4月17日 - Charlie and the Chocolate Factory『チャーリーとチョコレート工場』
プレビュー:2017年3月28日、オープン:2017年4月23日 - Anastasia『アナスタシア』
プレビュー:2017年3月23日、オープン:2017年4月24日 - Bandstand『バンドスタンド』
プレビュー:2017年3月31日、オープン:2017年4月26日
2016〜2017年シーズンのトニー賞選考対象になるためには、2017年4月27日までに開幕する必要がありますが、毎年「直前オープン組」というのがあって、今年も13作中6作が駆け込みオープン。要するに、トニー賞レースの約半分はまだ始まってさえいません。(笑)
でも半分は始まっているので、開幕済みの7作の状況に少しだけ触れると、作品賞ノミネートに近いのは以下の3作です。(開幕順)
- Natasha, Pierre and the Great Comet of 1812『ナターシャ、ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』
- Dear Evan Hansen『ディア・エヴァン・ハンセン』
- Come From Away『カム・フロム・アウェイ』
この3作は劇評も口コミもある一定のレベルに達しています。もう1つ挙げるなら『ブロンクス物語』ですが、現実的には最初に挙げた3作だと思います。
これから開幕する作品の中ですでにプレビューが始まっている『アメリ』、『ウォー・ペイント』、『恋はデジャ・ブ』は、プレビューを観に行った一般客の反応がどれも二極化状態。それぞれ「気に入った」という人と「ダメだった」という人に分かれています。正式に開幕するまでは手直しが入る可能性もあり、いわゆる専門家の劇評も出ないため、オープンしてみないとなんとも言えない状況です。
ここからはリバイバル(再演)作品。今シーズンのリバイバルミュージカル6作を開幕日順(オープン順)に並べると以下のようになります。
- Cats『キャッツ』
プレビュー:2016年7月14日、オープン:2016年7月31日 - Falsetto『ファルセットズ』
プレビュー:2016年9月29日、オープン:2016年10月27日、クローズ:2017年1月8日 - Sunset Boulevard『サンセット大通り』
プレビュー:2017年2月2日、オープン:2017年2月8日、クローズ:2017年6月25日 - Sunday in the Park with George『サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ』
プレビュー:2017年2月11日、オープン:2017年2月23日、クローズ2017年4月23日 - Miss Saigon『ミス・サイゴン』
プレビュー:2017年3月1日、オープン:2017年3月23日、2018年1月14日
以上がすでにオープン済みの作品。これから開幕するのは1作のみです。
- Hello, Dolly!『ハロー・ドーリー!』
プレビュー:2017年3月15日、オープン:2017年4月20日
今年のリバイバル作品賞のノミネート数は通常であれば3作。6作中3作なので新作と比べると競争率は下がります。さらに今シーズンはすでに『サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ』が選考を辞退する意向を表明しているので、実質5作中3作がノミネートされる予定です。
とはいうものの、今シーズンのリバイバル作品部門は激戦。開幕済みの作品について現時点で言えるのは、『キャッツ』のノミネートが難しそうだということ。『ファルセットズ』、『サンセット大通り』、『ミス・サイゴン』は現時点ではノミネートという意味では一応圏内だと思います。
ただし、現在プレビュー中の『ハロー・ドーリー!』の口コミが非常によいので、『ファルセット』、『サンセット大通り』、『ミス・サイゴン』のどれかがノミネートを逃すことになるのではないかと思います。
Miss Saigon『ミス・サイゴン』※上のリンクは2014年ロンドン公演のCDです。
ちなみに、『サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ』はトニー賞だけでなくすべての賞(ドラマデスク賞、アウター・クリティクス・サークル賞など)の選考を辞退するようです。また、作品賞だけでなく女優・男優などのパフォーマー部門の選考も辞退。ジェイク・ギレンホール(Jake Gyllenhaal)とアナリー・アシュフォード(Annaleigh Ashford)はそれぞれ主演男優・主演女優部門のノミネート有力候補とされていたので少し寂しいです。
今年も最後の最後までわからないトニー賞の行方を見守りたいと思います。
ノミネート発表と注目作の感想は以下の記事へ。