昨日開催された2017年グラミー賞授賞式。最優秀ミュージカル・シアター・アルバム賞も発表になりました。
キャストアルバムというものについて改めて考えていたら、2009年と2016年にグラミー賞最優秀ミュージカル・シアター・アルバム賞を受賞したリン=マニュエル・ミランダが、『ハミルトン』のキャストアルバム(2016年グラミー賞受賞)についてとても印象的なコメントをしていたのをふと思い出しました。
I grew up not seeing Broadway shows, but loving cast albums. So when you have our cast album, you can go home and listen to it and you’re gonna imagine your own version of Hamilton. Because frankly, it’s tough to get a ticket!
自分は大きくなるまでブロードウェイで観劇する機会がなかったけれど、小さい頃からキャストアルバムが大好きだった。『ハミルトン』のキャストアルバムを手に入れたら、家で聞いて自分だけの『ハミルトン』を想像するんだ。はっきり言って、チケットを手に入れるのは大変だからね!
彼がこの話をしていたのは、『ハミルトン』のキャストアルバムのレコーディングが行われた頃でした。ミュージカルのチケットって、安いものではないし、人気公演や良席のチケットを手に入れようと思ったら本当に大変です。「ハミルトン熱」を誰よりも間近で感じている彼はそのことをよくわかっています。キャストアルバムは、自分が観て感動した作品や好きだった作品のものを聞き返して思い出すことができるだけでなく、観に行けない舞台や観に行けなかった舞台を楽しんだり身近に感じたりできるものなのです。
「だからこのキャストアルバムをいいものに仕上げたい」と話すリン。その姿を見ると、この人のミュージカルへの愛、そしてミュージカルファンへの愛はやっぱり本物だなぁと感じます。彼はただ曲が書けて脚本ができて主演できるという人ではありません。学生を公演に招待したり、#Ham4Hamという誰でも観に行けるショーでチケットが手に入らないファンを喜ばせたり、本当にいろいろなことに精力的に取り組んでいる人です。リン=マニュエル・ミランダのような人がいるから、若い世代がミュージカルを身近に感じることができ、ミュージカルの客層が広がっていく・・。
ビルボードチャートで最高3位に入った『ハミルトン』のキャストアルバムは、舞台を観たことがある人だけでなく観たことがない人にも人気です。『ハミルトン』の舞台を観に行ける日を夢見てキャストアルバムを聞き込んでいる人たちが、いつか本当の『ハミルトン』を劇場で観ることができますように・・。