2015年トニー賞で作品賞を含む5部門を受賞した『FUN HOME ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』(Fun Home)のブロードウェイ公演が、今年9月に惜しまれながらクローズしました。ブロードウェイ開幕から千秋楽まで、主演男優のマイケル・セルヴェリス、主演女優のベス・マローンを含めほとんどのキャストが完走。さらに、その多くはオフ・ブロードウェイ公演からの完走でした。ワークショップなども含めると、かれこれ7年くらい本作に関わっていた人もいます。
そんな離れがたい作品に関わった経験について、ブロードウェイで長いキャリアを持つジュディー・クーンが千秋楽前のインタビューで以下のように話しています。
I’ve never been thanked so much for the work I’m doing on stage.
舞台に立つ仕事をしていて、こんなに感謝されたことはない。
「感謝」というのは、楽屋口などで直接もらうお礼の言葉だけでなく、上演中に感じる客席の反応が「ありがとう」なのだそうです。そんな空気に満ちた客席を舞台上から毎日感じることができたのは本当に特別で幸せだったとのこと。
本作は、
FUN HOME is “The Best of What Broadway Can Do”
というブロードウェイ公演の公式プロモーション動画のタイトルどおり、演劇の力や可能性を試す新しいタイプの作品でした。ジュディー・クーンの言葉は、出演者の視点から見てもこの作品が “The Best of What Broadway Can Do” であったことを教えてくれているように思います。