アメリカで最も権威のある音楽チャートといわれるビルボードチャート。有名なのは “Hot 100” というシングルチャートと “Billboard 200” というアルバムチャートですが、ビルボードはジャンルごとのチャートも発表しており、その中の1つに “Cast Albums” (キャストアルバム)というチャートが存在します。2006年1月12日にビルボードに仲間入りした比較的新しいチャートで、いわゆるアメリカのミュージカルCDランキングです。
キャストアルバムというものがまだまだ浸透していない日本でミュージカルを応援している人に言わせれば、とても羨ましいチャート。
しかし中身はどうなっているかというと、歴史的大ヒット作『ハミルトン』が2015年10月17日付で初登場1位に入って以来、ほぼ毎週ナンバーワンの座に君臨し続けているという、ある意味あまり面白くないチャートです。(苦笑)
いや、そんなことはない!というわけで、まずはこれまでに一瞬だけでも『ハミルトン』から1位の座を奪うことができた革命的(?)なキャストアルバムを2つピックアップします。
一つは2016〜2017年シーズンのヒット作の1つといわれているDear Evan Hansen『ディア・エヴァン・ハンセン』(2017年2月25日付で1位)。現在ブロードウェイのミュージック・ボックス劇場で上演中で、チケットは数ヶ月先まで完売です。
もう一つは、2014〜2015年シーズンにトライアウト公演を行い最終的にはブロードウェイに進出しないという選択をしたThe Hunchback of Notre Dame『ノートルダムの鐘』(2016年2月23日付で1位)です。ブロードウェイで上演していない作品のキャストアルバムがトップにランクインするのは異例の出来事でした。(ちなみにこのとき、ディズニーは相当プロモーションを頑張ったようです。日本でももうすぐ劇団四季版が発売されますが、「通常版」「豪華版」「別版」と何やらものすごく力を入れているみたいですね。)
続いてもう少し長いスパンでチャートをチェックしてみると、『ハミルトン』のCDが発売されて以来、キャストアルバムチャートのトップ3の常連は以下の3つ。2位の『ウィキッド』と3位の『ビューティフル』は時々入れ替わったり、初登場の他のキャストアルバムに追い出されたりする週もあるのですが、しばらくするとまたトップ3内に返り咲いています。
- Hamilton: An American Musical『ハミルトン』
- Wicked『ウィキッド』
- Beautiful: The Carole King Musical『ビューティフル』
ただし、『ディア・エヴァン・ハンセン』が2017年2月25日の初登場以来、1位→2位→2位→2位と4週連続トップ3の中にとどまっているので、『ビューティフル』に替わってしばらくこのままトップ3の座に君臨するかもしれません。
ちなみに『ノートルダムの鐘』は1位→2位→4位と毎週順位を落とし、4週目には『ライオンキング』に抜かれてしまいました。
1位がほとんど入れ替わらないビルボードのキャストアルバムチャートは、2位や3位、そしてどのくらいの期間にわたって上位に入り続けるかなどに注目すると、いろいろと見えてくることがあります。
上位ランクインを続けている『ビューティフル』は、2017年7〜8月に帝国劇場で日本語版が初上演されます。(主演は平原綾香さん、水樹奈々さんのダブルキャスト)