2016〜2017年ブロードウェイシーズン注目作。ベット・ミドラー主演の『ハロー・ドーリー!』リバイバル公演。いろいろな意味で凄い体験ができました。
ベット・ミドラーのブロードウェイデビューは1967年『屋根の上のヴァイオリン弾き』のツァイテル役。その後もコンサート等でブロードウェイの舞台に立ったり、『プリシラ』のプロデューサーを務めたりすることはありましたが、女優としては今回の『ハロー・ドーリー!』が50年ぶりの復帰です。まさに待ち望まれていた公演。
以前ちらっと書きましたが、チケット価格が凄いことになっていて、この作品を観られるのは、発売時にチケットを押さえた人と、高額なプレミアム席を買った人と、徹夜または早朝から立見チケットの列に並んだ人だけ。私はというと、プレビュー公演が始まる少し前に追加で僅かに解放された1階サイド席をTelechargeから買いました(手数料込みで203ドル)。
それくらい今みんなが観たい『ハロー・ドーリー!』の感想はというと、ベット・ミドラーとベット・ミドラーの人気が凄かった!
70歳を超える世界的な超大物スターを生で観ることができる、これぞブロードウェイの醍醐味!と思ってとりあえずチケットを買ったものの、実は、どういうものを期待していけばいいのかさっぱり分かりませんでした。でも、行ってみたらすべてはスターの手の内にあって、何にも考えずに座っていればよかったです。
彼女が出てきただけで大歓声が上がり、まだ何もやっていないのに拍手が鳴り止まない。みんな!落ち着こうよ!!って言ったところで多分誰も聞きません。
舞台には宝塚の銀橋のような場所が設けられていて、ベット・ミドラーが通る。最前列の座席は日によっては正規ルートで700ドルくらいで販売されていましたが、全席埋まっている!!
あまりに盛り上がるので「ちょっとついていけない・・」と思いながらも、最後には「あんなに喜んでいるんだからいいじゃないか」という気持ちに。すごい人なんだからね!
その他のキャストも当たり前のようにハイクオリティ。トニー賞でも、ベット・ミドラー(主演女優賞)以外に、ホレス役のデヴィッド・ハイド・ピアース(主演男優賞)、コーネリアス役のギャヴィン・クリール(助演男優賞)、アイリーン役のケイト・ボールドウィン(助演女優賞)がノミネートされて、アクティング部門の強さを見せつけています。いちいち面白くて、コメディはこうじゃなくっちゃ・・と思いながら笑ってました。
アンサンブルも眩しいくらいに輝いていて、ベット・ミドラーと一緒にこの作品に出られることが幸せ!という気持ちが伝わってくる。アンサンブルナンバーは本当にどれもよかったのですが、特に好きなのは “Put on Your Sunday Clothes” 。古いんですけど、観ているだけでワクワクするし幸せになれます。 “The Waiters’ Gallop” などのダンスも見応えがあって気に入っていたのに、今回、ワーレン・カーライルの振付がトニー賞で選考対象外になってしまって、本当に残念。
衣装やセットもお金かかってますね、多分。トニー賞の装置デザイン賞はさすがに『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』が持って帰ると思いますが、衣装デザイン賞はどうかなー?
ブロードウェイの劇場街はあっちもこっちもこの旗でいっぱい。完全にお祭りモードです。トニー賞リバイバル作品賞は『ハロー・ドーリー!』で決まり。もちろん主演女優賞もベット・ミドラーで決まり。今年はそういう年です。
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