ブロードウェイで絶賛上演中のミュージカル『ウェイトレス』。3月26日で公演を去る主演ジェシー・ミューラーの後任者に、同作を作詞・作曲したサラ・バレリス(3月31日〜6月11日の期間限定)が決定したという発表がありました。出演者としてのブロードウェイデビュー!コスチューム姿が似合っています。
Sugar, Butter, BROADWAY! I am thrilled to be joining the cast of @WaitressMusical on March 31 for 10 weeks only: https://t.co/msz42bU8me pic.twitter.com/9lbvXwmLaD
— Sara Bareilles (@SaraBareilles) 2017年2月16日
『ウェイトレス』は2007年公開の映画『ウェイトレス 〜おいしい人生のつくりかた』(Waitress)をもとにしたコメディーミュージカル。トニー賞は『ハミルトン』がほとんど全部持っていってしまったので1つも獲れませんでしたが、作品賞、楽曲賞、主演女優賞、助演男優賞でノミネートされ、先日のグラミー賞最優秀ミュージカル・シアター・アルバム部門にもノミネートされました。サラ・バレリスの楽曲は間違いなくこの作品の魅力です。
サラ・バレリスは曲を書いたときのインタビューで、この作品の登場人物に対してこんな言葉をかけていました。
No one is anything but a shade of grey. It’s good people making bad choices.
みんなほんの少しグレー。いい人たちだけど選択を間違える。
ELLEより
彼女が言うとおり、この作品に出てくる登場人物はみんな人間らしくてちょっと「困った」人たちです。気合いを入れて背筋を伸ばして観るタイプの作品ではなく、肩の力を抜いて気楽に観るべき作品。”Opening Up” のような賑やかなナンバーを楽しみ、 “Bad Idea” や “I Love You Like a Table” のようなナンバーで笑い、 “She Used to Be Mine” で少しだけ泣く・・。どちらかというと客層は若めで女性向きだと思います。(この作品はクリエイターが全員女性で、メディアではそのことがよく取り上げられるのですが、クリエイターの1人であるサラ・バレリス自身は、あくまで「この作品に相応しいディレクターや振付師たちと仕事ができた」と強調しています。)
『ウェイトレス』は先月末に約1200万ドルの投資回収(リクープ)達成を発表しており、2015年-2016年シーズンに開幕した作品の中では『ハミルトン』の次くらいに健闘しているといってもよい作品です。ジェシー・ミューラーから後任者への引き継ぎが上手くいけば、もう少し長いロングランが見えてくるかもしれないな・・と思っていたところにこのニュース!3月31日から6月11日までということなので、これで旧作にとっては厳しいトニー賞の時期も乗り切れそうです。
なお、『ウェイトレス』が上演されているブルックス・アトキンソン・シアター(Brooks Atkinson Theater)は座席数が1109席※の劇場で、ブロードウェイの劇場の中ではそんなに大きいほうではありません。また、変に横に広がってもいないので見やすい席が多いといわれます。私は開幕直後にチケットが思うように確保できずバルコニーから観劇しましたが、まずまずの視界でした。極端に悪い席に当たるリスクが少ないので、tktsやTodayTixのような座席指定ができない割引チケットで運試ししてみてもよいかもしれません。ただしこの劇場は女性お手洗いが少なく非常に混雑しますのでご注意を。(気を付けて!ブロードウェイのトイレ事情参照。)
※『ウィキッド』を上演しているGershwin Theatreは1933席、『アラジン』を上演しているNew Amsterdam Theaterは1747席、『オペラ座の怪人』を上演しているMajestic Theaterは1645席、『シカゴ』を上演しているAmbassador Theaterは1125席です。参考までに書いておくと、日本の帝国劇場は1897席です。