ミュージカル『メリー・ポピンズ』の日本語版が2018年3月から上演されることになりました。主催・企画制作はホリプロ、東宝、TBS、梅田芸術劇場。
『メリー・ポピンズ』はウエストエンド発のミュージカル。ブリストルでのトライアウト公演を経て、2004年12月にロンドンのプリンス・エドワード劇場で開幕。ブロードウェイでも2008年に開幕しました。ロンドン公演は2008年1月、ブロードウェイ公演は2013年3月にそれぞれ千秋楽を迎えましたが、その後もツアーや世界各地での公演が行われています。
正直、今さら感はありますが、ミュージカルとしての魅力が詰まっていて、時代や場所を超えて愛される作品なので、時間がかかっても日本での上演が叶ったことは嬉しいです。
私自身は開幕当初のロンドン公演と最近のオーストラリア公演を何度か観ています。メリー・ポピンズ役はLaura Michelle Kelley、Scarlett Strallen、Verity Hunt-Ballard、バート役はGavin Lee、Matt Leeあたり。ロンドン公演を観たのは2005年なので、さすがに記憶が薄れてきてしまいましたが、2010〜2012年のオーストラリア公演はとても盛り上がっていました。
当時つけていた観劇記録や感想を振り返って見ると、メリー・ポピンズがどこへ飛んでいくのか気になって1階席前方、1階席後方、2階席など場所を変えて何度も観たことや、お気に入りのジェーンとマイケル(子役)コンビのことが書いてありました。
発表された日本版キャストについては、これまでに観た海外版キャストの印象がどうしても残っているので、「わーピッタリ!」というよりは「へぇ〜」とか「ふーん」という印象のキャスティングも多いですが、その分、日本版がどんな風に仕上がるか楽しみです。
個人的に興味深いなぁ〜と思ったのはバート役の大貫勇輔さんと柿澤勇人さん。バート役といえば、ロンドン公演とブロードウェイ公演のオリジナルキャストのギャヴィン・リー(Gavin Lee)。このところ『チャーリーとチョコレート工場』『ファルセットズ』『サムシング・ロッテン!』などで活躍が続いているクリスチャン・ボール(Christian Borle)も演じたことのある役です。演じる人の個性が活かされる役で、過去には渋めのバートもいましたが、可愛らしいバートもいました。例えば、オーストラリア公演と2015年の英国ツアーのマット・リー(Matt Lee)。彼はメリー・ポピンズとの関係にも思わずキュンとしてしまう、とてもチャーミングなダンサー系バートでした。オーストラリア公演が始まった当初、「今までのバートと違いすぎる!」と驚かれていましたが、実際に観てみたらなかなかの好演で、制作陣からも「これまでに世界で生まれたバートの中でもとても良いバート」と言われ、2015年の英国ツアーにも声がかかっていました。マット・リーは「自分のバートを演じたかったから敢えて映画は観なかった」そう。大貫さんと柿澤さんのバートがどんな個性を発揮するのかとても楽しみです。
ジェーン役とマイケル役の子役は未発表ですが、これまでの海外プロダクションを見る限り、各役4〜5人体制で、出演とバックアップ(スタンバイ)を回していくと思います。ビリー・エリオットのように技術的な難易度がメチャクチャ高い役ではありませんが、だからこそキャラクター重視で、一緒に素敵な旅をさせてくれるような子たちにやってほしいです。
見どころはやっぱり “Supercalifragilisticexpialidocious” や “Step in Time” かな。 “Practically Perfect” や “Spoonful of Sugar” 、 “Feed the Bird” 、 “Being Mrs Banks” 、 “Let’s Go Fly a Kite” など、基本的にハズレなしのよいナンバーばかりです。この辺りの曲はまず間違いなく万人受けすると思いますが、何度も観ているうちに “The Perfect Nanny” や “Precision and Order” のようなマニアックな曲にもハマっていました。ちょっとした曲もイチイチ可愛かったり雰囲気があったりするんですよね。
舞台技術的なところでいうと、天井歩き(ワイヤーウォーク)とフライングもあるはず。フライングの動線と規模感はかなり気になります。フライングはかなり重要なので、是非2階席も通るくらいの勢いでダイナミックにやっていただきたいです!
海外のプロモーション動画を探してみたものの、何せ10年以上前に初演された作品なので数が少ない。(涙)時代を感じます。2015年の英国ツアーのプロモーション動画あたりがちょうどよい長さでいい感じにまとまっているかと。
日本版キャストは以下のとおり。
- メリー・ポピンズ 濱田めぐみ/平原綾香(Wキャスト)
- バート 大貫勇輔/柿澤勇人(Wキャスト)
- ジョージ・バンクス 駒田一/山路和弘(Wキャスト)
- ウィニフレッド・バンクス 木村花代/三森千愛(Wキャスト)
- バードウーマン/ミス・アンドリュー 島田歌穂/鈴木ほのか(Wキャスト)
- ブーム提督/頭取 コング桑田/パパイヤ鈴木(Wキャスト)
- ミセス・ブリル 浦嶋りんこ/久保田磨希(Wキャスト)
- ロバートソン・アイ 小野田龍之介/もう中学生(Wキャスト)
『ビリー・エリオット』に続き、ホリプロが手掛ける大型新作ミュージカル。楽しみです。