2018年3月4日(米国時間)に行われた第90回アカデミー賞授賞式。歌曲賞にノミネートされていたミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン(The Greatest Showman)』よりノミネート曲「ディス・イズ・ミー(This is Me)」のパフォーマンス披露がありました。圧巻のパフォーマンスで授賞式会場からスタンディング・オベーションを受けたのはミュージカル界出身のキアラ・セトル(Keala Settle)です。
1975年生まれでハワイ州オアフ島の出身。『グレイテスト・ショーマン』以前の経歴は、テレビ1作と映画1作を除きすべてミュージカル関係。そんな彼女を紹介したいと思います。※カーラ・セトルの表記で紹介されることもありますが、「カーラ」より「キアラ」または「ケアラ」が本当の発音に近いです。ハワイご出身であることを考えると「ケアラ」がより適切な気がしますが、日本では「キアラ」で定着しそうなので合わせます。
テレビ・映画界でこそ “新人” のキアラ・セトルですが、ミュージカル界でのキャリアは約15年。始まりはブロードウェイで大ヒットした『ヘアスプレー』の2003年米国ツアーオーディションでした。8回のコールバックを経て、主役トレイシー役のアンダースタディ(代役)としてのオファーを受けたそうです。ツアーが始まってしばらく経った頃、米国ツアーのトレイシー役がブロードウェイ公演で同役を演じるためにツアーを抜けることになり、その後はツアー公演のトレイシー役をキアラ・セトルが務めました。
キアラ・セトルのブロードウェイデビューは2011年『プリシラ』Priscilla Queen of the Desertのアンサンブルでした。アンサンブルとしての経験が『グレイテスト・ショーマン』にも活きているそうです。
彼女がミュージカル女優として広く認識されるきっかけとなったのは2013年『ハンズ・オン・ア・ハードボディ』Hands on a Hardbody 。作品自体はプレビューを入れてもわずか56回でクローズしてしまった作品でしたが、ノーマ・バルベルデ役を演じたキアラ・セトルのパフォーマンスは絶賛され、トニー賞助演女優賞にノミネートされました。
以降、『レ・ミゼラブル』リバイバル公演のマダム・テナルディエ役(2014〜2015年)、『ウェイトレス』のベッキー役(2016年)とブロードウェイ公演にほとんど途切れることなく出演。これは本当にすごいことです。
ブロードウェイでの活躍が多かったキアラ・セトルなので、トニー賞授賞式のパフォーマンスで彼女のミュージカル女優としての姿を見ることができます。
まずは記憶に新しい2016年のトニー賞授賞式。『ウェイトレス』のパフォーマンスで “Opening Up” というナンバーを歌っています。0:52くらいからを要チェック。この映像ではほんの少ししか歌っていませんが、本編では後半に “I Didn’t Plan It” という大変力強いソロがあります。劇場で拝見しましたが、ド迫力でした。
続いて2014年のトニー賞授賞式。日本でもファンの多い『レ・ミゼラブル』の「ワン・デイ・モア」を歌うキアラさんを発見。2:50くらいからに注目。
ブロードウェイ公演
- 2016年『ウェイトレス』Waitress(ベッキー役)
- 2014年『レ・ミゼラブル』Les Miserables リバイバル公演(マダム・テナルディエ役)
- 2013年『ハンズ・オン・ア・ハードボディ』Hands on a Hardbody (ノーマ・バルベルデ役)★トニー賞助演女優賞ノミネート
- 2011年『プリシラ』Priscilla Queen of the Desert(アンサンブル)
その他の公演
- 2013年『ヨセフ・アンド・ザ・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat オガンクイット公演(ナレーター役)
- 2013年『ヴァイオレット』Violet ※Encores! Off-Centerシリーズ(老婦人/ホテル・フッカー役)
- 2012年『クリスマスキャロル』A Christmas Carol ソルトレイクシティ公演(フェジウィッグ夫人役)
- 2009〜2010年『南太平洋』South Pacific 米国ツアー(ブラディ・メアリー役)
- 2003〜2006年『ヘア・スプレー』Hairspray 米国ツアー(トレイシー役)