ブロードウェイミュージカル『ビューティフル』日本語版公演の初日を観に行ってきました。
劇場に着くなり男性率の高さにビックリ!実際に客席に座った感覚としては7割くらい男性だったのではないでしょうか。
舞台の仕上がりはというと、結構皆さん台詞を噛んでいらっしゃって、初日としてのクオリティや完成度は正直やや低めかなぁという感じ。でも、笑いはとれていたので、回数を重ねればもっとよくなっていくのではないかと思います。キャロル・キング役の水樹奈々さんは、ミュージカル初出演かつ初日ということでかなり緊張されていたようですが、早口でも台詞が聞き取りやすいのはさすが。中川晃教さん、ソニンさん、剱幸さんは安定。特に中川さんとソニンさんの作曲家&作詞家コンビは、息ぴったりでとてもよかったです。
ただ・・個人的には好きな作品とは言えないかも。『ビューティフル』と同じ2013〜2014年シーズン2014年に開幕したブロードウェイ作品には『アラジン』、『ビッグ・フィッシュ』、『紳士のための愛と殺人の手引き』、『マディソン郡の橋』などがあり、日本でも上演された(またはされる予定の)作品がたくさんありますが、少し前に日生劇場で上演された『紳士のための愛と殺人の手引き』のほうが断然好みです。『紳士のための愛と殺人の手引き』はアートという感じがするのですが、『ビューティフル』はヒット曲で綴る有名アーティストの歴史なので、そのまんまというか、驚きや面白みが足りない・・。ブロードウェイの劇評も、出演者を絶賛する一方で脚本の弱さを指摘するものが比較的目立ちました。
ちなみにトニー賞では『紳士のための愛と殺人の手引き』が作品賞、脚本賞、衣装デザイン賞、演出賞の4部門を受賞し、『ビューティフル』は主演女優賞と音響デザイン賞の2部門を受賞しました。やっぱり作品、脚本、演出を押さえた作品は強い!もちろん主演女優賞を受賞した『ビューティフル』のジェシー・ミューラーの凄さはわかっていますが、日本での上演にあたっては、ジェシー・ミューラーが出演するわけではないので全く関係ないですから・・。『ビューティフル』はウェストエンドのオリヴィエ賞でも主演女優賞と助演女優賞の2部門の受賞にとどまっており、やはり作品の評価が高いとは言い難いように思います。
カーテンコールでは、水樹さんとすぐに立ち上がったファンの方々がとても楽しそうでした。ああいう流れだとつい立ってしまいますが、個人的には今日の出来ならSO(スタンディングオベーション)は本当はなし。まだまだこれからです!
初日ということで最後に水樹さんから初日挨拶がありましたが、興奮のあまりテンパっていて、共演者から「落ち着いて!」という声が。クリエイターチームからの挨拶は残念ながらありませんでした。『紳士のための愛と殺人の手引き』は海外クリエイターが来日して初日挨拶まであって、大事に作ろうとしているんだなーという印象を受けたのですが、『ビューティフル』はそういう感じではないのでしょう。
とりあえず今まで帝国劇場ではなかなか見ない客層を呼び込んだ。それだけかそれ以上かは、今後の評判と展開次第かな。