日本でもときどき見かける立見チケット。ブロードウェイでも、一部の演目で販売されています。完売している人気公演を格安で観れる可能性がありますが、通常のチケットとは異なるため、いくつか注意しなければならない点があります。このページでは、立見チケットの販売条件や、実際に買いに行くときの注意点について解説します。
注意:公演によって異なる場合がありますので、詳細は各公演の公式サイトでご確認ください。
販売場所 | 劇場窓口 |
販売日 | 当日 |
販売条件 | あり(この先で解説) |
販売方式 | 先着順 |
販売価格 | 30〜50ドル程度※ |
購入可能枚数 | 通常1人2枚 |
購入資格 | 特になし |
立見チケットは、英語で “SRO tickets” と呼ばれます。SROは “standing room only” の略で、直訳すると「立見スペースしかありません」という意味です。名前の由来からもわかるように、座席チケットが完売した後に販売されます。公式ページなどの立見チケット情報を読むと、ほぼ必ず “if the show is sold out(完売している場合は)” という但し書きが付いています。なお、連日空席ありの状態で上演している公演では、立ち見チケット情報自体が発表されないのが普通です。
また、完売していても、劇場の構造的に立ち見できるスペースがなく立見チケットを一切販売できない公演もあります。ちなみに、立見スペースの位置は1階席最後列の後ろであることが多いですが、2階席最後列の後ろになる場合もあります。座席がないのは当然ですが、もたれてよい壁や腕を置ける手すりも必ずあるとは限りません。見やすさについては、劇場の規模や構造、そして立たせてもらえる位置に依存するところが大きく、また作品の見どころによっても変わってきます。
SROチケットを狙う場合、まずは販売される可能性がある演目かどうかを確認しましょう。情報源としては各公演の公式サイトか現地の劇場窓口が最も確実です。よく調べずに当日買いに出かけても「販売しないよ」と言われてしまう可能性がありますので注意してください。
数ヶ月先まで完売しているような人気作は別ですが、SROを狙う場合は「完売しているかどうか?」を気にする必要があります。話題になりかけている新作などでは、「売れ行きは好調だけれどまだ完売ではない」という状態で当日を迎える場合も多々あります。そこから開演時間までの間に完売すればSROチケットの販売が開始されますが、完売しないまま開演時間を迎えてしまう可能性もあります。対策としては、劇場窓口に問い合わせるか、前日の夜などにチケット購入サイトで残席の数をチェックするのが有効です。
一方で、「SROチケットを買いたい人がどれくらいいるのか」ということも同時に考える必要があります。定価は高すぎて躊躇しているけれどSROチケットが販売されたら買おうと思って狙っている人は多いので、完売しそうな時間に劇場に行ったら、すでにSROチケットの販売開始を待つ長蛇の列ができている場合もあるからです。
なお、「全座席完売」と認めるタイミングは劇場によって若干の差があるようです。何らかの理由で当日に戻ってきた席や、不要になった押さえ席などの扱いは、各劇場の方針に基づいて判断されます。そこまで厳格ではない劇場も多い一方で、1席でも残っていると販売しない劇場もあります。SROチケットを狙って何人も並んでいたけれど、通常の座席が1席売れ残ったまま開演時間になってしまい、誰ひとりSROチケットを売ってもらえなかったという話を聞くこともあります。不安な場合は劇場に問い合わせましょう。
私も初めてブロードウェイで立見席を買ったときは、前日に窓口に行って、
私:明日、SROチケットは販売されますか?
窓:はい。
私:何時に販売されますか?
窓:窓口が開くタイミングだよ。でも、ものすごく早く着いておいたほうがいい。
私:わかりました。ありがとうございます。
窓:もう一度言っておくけど、早くじゃなくて、ものすごく早くだからね。
私:はい。朝6時に来ます。
窓:よくわかってるね。じゃあ頑張って。
というやり取りをしたことがあります。(それでも実際にはちょっと遅くて、1階席の立見は完売。2階席で立見しました。)