ブロードウェイでは常に何十という作品が上演されています。このページではこだわりの作品選びのヒントを紹介していきます。たくさん観たい人も、1作しか観る時間がない人も、知名度や先入観に捕らわれず、ほんの少し視野を広げて選んでみると、素敵な作品に出会えるかもしれません。話題の新作、トニー賞はじめ各種賞の受賞作、一度は生で見てみたい注目のスター・・。ブロードウェイは初心者から上級者までいろいろな楽しみ方ができますよ!
ブロードウェイでは毎年数多くの作品が開幕し、それと同じ数の作品が千秋楽を迎えています。上演記録が半年に満たない作品も多い中、数十年にわたって上演されている大ヒット作があります。例えば、最長ロングラン記録を持つ『オペラ座の怪人』は1988年から上演されており、現在も新たなキャストを迎えながら記録を更新し続けています。『シカゴ』、『ライオンキング』、『ウィキッド』なども順調に上演回数を重ねており、今やブロードウェイに欠かせない存在になりました。ブロードウェイを訪れる機会があれば、一度は観てみることをおすすめします。
映画界にアカデミー賞があるように、演劇界にはトニー賞という賞があります。トニー賞は数ある演劇関係の賞の中でも最高峰といわれる賞です。ここ数年は、日本でも授賞式の様子がNHK(2013年)やWOWOW(2014〜2016年)で放送されているため、少しずつ知名度が上がってきました。
トニー賞には、その年に開幕した作品の中で最も優れた作品とリバイバル作品に贈られる賞だけでなく、俳優個人に贈られる賞や、脚本、楽曲、演出、照明、衣装などの制作陣に送られる賞があります。やはり注目すべきは作品賞です。受賞した作品はその後も安定した人気が続くことが多いため、受賞から数年経っても上演されている場合が多いです。他には、タイミングがよければ主演女優賞や主演男優賞を受賞した俳優を生で観ることができる場合もあるので、そちらもチェックしてみましょう。
はるばるニューヨークに行くのだから、日本では観られないものを観たいと思う人も多いはず。ブロードウェイでは毎年多くの新作ミュージカルが誕生しています。その中にはいずれ日本語化されて日本で上演される作品も含まれていますが、どんなに早くてもブロードウェイ開幕から1〜2年かかるのが通例です。新しいもの好きの人やロングラン作品はすでに観たことがある人は、過去1〜2年の間に開幕した作品の中から評判がよいものを選ぶのがおすすめです。作品の評判を調べるには、以下の方法があります。
- 日本の演劇関係誌やウェブサイトの特集記事
- 日本語で感想が書かれているブログや旅行記
- トニー賞のノミネートと受賞結果
- 現地の劇評
先の説明と少し矛盾しますが、トニー賞受賞作は受賞する前に観るのがお勧めです。なぜなら、トニー賞を受賞した作品は、通常チケットが(さらに)売れるようになり、観るのが(ますます)難しくなるからです。評判の良い作品の場合は、ノミネート発表前でもチケットが数ヶ月先まで完売していることもあります。また、オリジナルキャストの多くは、トニー賞の発表前にプロダクションを去ることはほとんどありませんが、発表後は契約更新やオファーがあったタイミングで次々と抜けていってしまうことが多いのです。(ただし、長く演じられる方もいます。)
「本場のミュージカルを観てみたいけれど英語に自信がない」という人は、原作が本や映画の作品を選ぶのも一つの方法です。訳書を読んだり映画を観たりしておけば、英語が聞き取れなくても何が起こっているか何となくわかるので安心です。
賛否両論あるとはいえ、スターによる集客はブロードウェイでも使われています。過去にトニー賞を受賞した俳優や、映像を含め多方面で活躍している俳優が日々舞台に立っています。近年でいうと、『イフ/ゼン』にイディナ・メンゼル、『王様と私』に渡辺謙さん、『ザ・カラー・パープル』にジェニファー・ハドソンが出演していました。舞台上の生のパフォーマンスを観ることができるだけでなく、運がよければ楽屋口でお目にかかれることもあります。
ブロードウェイでは特に秋から春にかけて多くの公演が開幕します。開幕直後は、待ちに待っていたブロードウェイのファンたちがこぞって観に行くため、大変盛り上がります。また、オリジナルキャストで観られる可能性も高いです(体調不良や計画された休演は除きます)。さらに、評判やトニー賞の結果次第ではあっという間に高騰・完売してしまうチケットが比較的取りやすい時期でもあります。もしプレビュー期間中の公演があれば、通常よりも安めの価格が設定されていたり、開幕後には販売されない格安チケットが売り出されていたりすることもあるので、チェックしてみることをお勧めします。
どんな公演もいつかは必ず千秋楽を迎えます。千秋楽の迎え方には、大きく分けて次の3つのパターンがあります。
- 何年にも及ぶロングラン公演が惜しまれながらクローズする。
- 期間限定のリミテッドラン公演が予定通りクローズする。
- 人気のない新作があっという間にクローズする。
1つ目のパターンのときは遅くとも数ヶ月前には発表され、2つ目のパターンの場合も開幕当初から計画されています。
曲者なのが3つ目です。ブロードウェイはとてもシビアな場所なので、せっかく開幕しても、人気と売上げが伴わなければ、数週間〜数ヶ月でクローズしてしまいます。公演期間を定めないオープンランとして先々までチケットを売り出していても、払い戻してクローズするのです。現地のミュージカル好きな人と話していたら、「再来週のチケットを持っていたのに、人気がなくて来週末でクローズすると電話がかかってきた。払戻か別日程への振替を選んでほしいと言われたが、どうしようかなぁ」と平然と言っていました。不評作も含めてコンプリートを狙っている人は、チケットの売れ行きや評判に注意して見逃さないようにしましょう。