モタモタと感想を書いていたら、あっという間にトニー賞授賞式の3日前に。(笑)ギリギリですが、今年もトニー賞の受賞を軽〜く予想してみたいと思います。
それではスタート!
まずはカテゴリ別の予想から。※ミュージカルが関係する部門の予想のみに絞っています。
- Frozen『アナと雪の女王』→感想
- Mean Girls『ミーン・ガールズ』→感想
- The Band’s Visit『バンズ・ヴィジット(迷子の警察音楽隊)』→感想
- SpongeBob SquarePants: The Musical『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ』→感想(OCC/DD)
ミュージカル作品賞は、思いがけない体験をさせてくれた『バンズ・ヴィジット』に。『バンズ・ヴィジット』で唯一気がかりなのは、もはや今シーズンの作品っぽくなくなってきていること。昨シーズンからオフブロードウェイで上演されており、前哨戦のアウター・クリティクス・サークル賞とドラマ・デスク賞もほとんどの部門で選考対象外だったので、忘れられてしまっていないかと心配になります。しかも、こういう作品に限ってプロモーションも控えめ。(笑)でも、きっと大丈夫と信じて。
そして、もう一つよかったのが『スポンジ・ボブ』。ニコロデオンという会社や『スポンジ・ボブ』という題材からは想像もつかないほど真剣に作られたミュージカルでした。ただ、作品賞受賞はちょっと難しいですね。パフォーマンスはやっぱり Bikini Bottom Day がいいな。楽しみにしています。
- Rodgers & Hammerstein’s Carousel『回転木馬』→感想
- Once On This Island『アイランド』→感想(準備中)
- My Fair Lady『マイ・フェア・レディ』(OCC/DD)→感想
ここはなかなか難しいです。予想は『マイ・フェア・レディ』で。あのセットであの劇場でやったのは大正解で、舞台美術面のクオリティの高さが作品のレベルを引き上げていました。主演コンビも演出家の意図どおりだったよう。作品の現代的な解釈もしっかりしており、悪い評価はしにくい出来。
『回転木馬』はパフォーマンスが素晴らしいです。ただ、ダンスに時間をかけるためにカットした部分や、現代化が上手くいっていないと思われる部分があり、賛否がやや極端に分かれた印象。推す人は推すので可能性はあると思います。
『アイランド』はどちらかというと業界よりも一般人にウケている作品。
- 作曲:エイドリアン・サットン『エンジェルス・イン・アメリカ』
- 作詞・作曲:デヴィッド・ヤズベック『バンズ・ヴィジット(迷子の警察音楽隊)』(OCC*/DD*)
- 作詞・作曲:クリステン・アンダーソン=ロペス、ロバート・ロペス『アナと雪の女王』
- 作曲:ジェフ・リッチモンド、作詞:ニール・ベンジャミン『ミーン・ガールズ』
- 作詞・作曲:ヨランダ・アダムス、スティーヴン・タイラー『エアロスミス』、ジョー・ペリー『エアロスミス』、サラ・バレリス、ジョナサン・コールトン、アレックス・エバート『エドワード・シャープ&ザ・マグネティック・ゼロズ』、ザ・フレーミング・リップス、レディ・アンテベラム、シンディ・ローパー&ロブ・ハイマン、ジョン・レジェンド、パニック・アット・ザ・ディスコ、プレイン・ホワイト・T’s、ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツ、T.I.、ドマーニ、リル・C『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ』(OCC)
迷わなくてもよいカテゴリー。『バンズ・ヴィジット』のデヴィッド・ヤズベックに。
- ティナ・フェイ『ミーン・ガールズ』(OCC/DD)
- カイル・ジャロウ『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ』
- ジェニファー・リー『アナと雪の女王』
- イタマール・モーゼス『バンズ・ヴィジット(迷子の警察音楽隊)』
『迷子の警察音楽隊』と『ミーン・ガールズ』の2択。ここは結構競ると予想します。客層が全く異なるけれど、どちらも観客に響いている。どちらかというと『迷子の警察音楽隊』がよいと思いますが、『ミーン・ガールズ』はティナ・フェイ。彼女のセンスは嫌いではないし、『ミーン・ガールズ』は正直ここ以外ほぼチャンスがないので、ティナ・フェイをピックしてみました。
- マイケル・アーデン『アイランド』
- デヴィッド・クローマー『バンズ・ヴィジット(迷子の警察音楽隊)』(DD*)
- ティナ・ランドー『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ』(OCC/DD)
- ケイシー・ニコロウ『ミーン・ガールズ』
- バートレット・シャー『マイ・フェア・レディ』(OCC)
ここは個人的には良い意味で一番面白いと思っています。『バンズ・ヴィジット』のデヴィッド・クローマーと『スポンジ・ボブ』のティナ・ランドーをどちらも推したい!でも、あの巨大なチームをまとめたティナ・ランドーの仕事ぶりは素晴らしいと思うので、ティナ・ランドーをピック。
- ハリー・ハーデン=ペイトン『マイ・フェア・レディ』
- ジョシュア・ヘンリー『回転木馬』
- トニー・シャルーブ『バンズ・ヴィジット(迷子の警察音楽隊)』
- イーサン・スレイター『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ』(OCC/DD)
ここも良い意味で難しいです。「えーこの人が獲ったの??!」とガッカリする人がいないカテゴリー。
個人的には『スポンジ・ボブ』のイーサン・スレイターに賭けてみたい。彼は本作がブロードウェイデビューですが、この『スポンジ・ボブ』ミュージカル化プロジェクトに参加してすでに6年になります。台本よりも楽曲よりも早くから存在したイーサンのスポンジ・ボブ。20代前半をこの作品と役に捧げた彼を推します。
恐らくキーになるのは『バンズ・ヴィジット』のトニー・シャルーブ。トニー賞ノミネートは今回が4度目。メチャクチャ評判はいいのですが、1分くらいしか歌わない役だったということが事態をややこしくしています。でも、映画の撮影で早めに作品を抜けたにも関わらず、トニー賞の直前だけ戻ってきて特定の公演回のみ出演していたのは、やはり勝算があってこそ。
どうなるかなー。
- ローレン・アンブローズ『マイ・フェア・レディ』(OCC)
- ヘイリー・キルゴア『アイランド』
- ラシャンズ『サマー』
- カトリーナ・レンク『バンズ・ヴィジット(迷子の警察音楽隊)』
- テイラー・ラウダーマン『ミーン・ガールズ』
- ジェシー・ミューラー『回転木馬』(CC)
ノミネートに関しては、枠を6人に増やしたり、それにも関わらず『アナ雪』のアナとエルサが漏れてしまったりと波乱のカテゴリーでしたが、受賞に関してはあまり迷わないかも。ズバリ、『バンズ・ヴィジット』のカトリーナ・レンクに獲ってほしいです。
他でチャンスありといえるのは『マイ・フェア・レディ』のローレン・アンブローズですが、私は独特のオーラで作品を引っ張るカトリーナ・レンク派。彼女は多分獲れる。
- ノーバート・レオ・バッツ『マイ・フェア・レディ』(OCC)
- アレクサンダー・ジャミニャーニ『回転木馬』
- グレイ・ヘンソン『ミーン・ガールズ』
- ギャヴィン・リー『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ』(DD)
- アリエル・スタッチェル『バンズ・ヴィジット(迷子の警察音楽隊)』
正直、あまりエキサイティングではないカテゴリー。(苦笑)
そうすると余計なことをいろいろと考え始めるわけです。まず、ストレートに予想すればノーバート・レオ・バッツ。しかし、彼はすでにトニー賞を2回受賞済み。長年のブロードウェイのファンなら『スポンジ・ボブ』のギャヴィン・リーの受賞を喜ぶでしょう。『ミーン・ガールズ』のグレイ・ヘンソンもアリだと思います。でも、よく考えると『バンズ・ヴィジット』のアリエル・スタッチェルが推される要素を結構持っているので、彼をピック。でも、全然自信ないです。
- アリアナ・デボーズ『サマー』
- ルネ・フレミング『回転木馬』
- リンジー・メンデス『回転木馬』(OCC/DD)
- アシュリー・パーク『ミーン・ガールズ』
- ダイアナ・リグ『マイ・フェア・レディ』
恐らく『回転木馬』のリンジー・メンデスが獲ると思いますが、このカテゴリーの候補者は素直に「いい!!」と思う人が多かったです。アシュリー・パークが演じたグレッチェンは切なくて響いたし、ルネ・フレミングの歌声とダイアナ・リグのオーラに圧倒されたことは言うまでもありません。(『サマー』のアリアナ・デボーズを見ることができなくて残念。)
- デイン・ラフリー『アイランド』
- スコット・パスク『バンズ・ヴィジット(迷子の警察音楽隊)』
- スコット・パスク、フィン・ロス&アダム・ヤング『ミーン・ガールズ』
- マイケル・イヤーガン『マイ・フェア・レディ』
- デヴィッド・ジン『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ』
『スポンジ・ボブ』と『マイ・フェア・レディ』の2択かな。私はあの360度ハウスがどうやっても忘れられないので、『マイ・フェア・レディ』に。
でも、このカテゴリーはどの作品も好きです。地上から落ちてきた色々なオブジェクトで海底の町を作った『スポンジ・ボブ』、シンプルなのに想像をかき立てる『バンズ・ヴィジット』、スピード感のある場面転換が生きた『ミーン・ガールズ』、本物の砂や水を使ったユニークな空間で物語を展開した『アイランド』。多種多様で楽しかったなぁ。
- グレッグ・バーンズ『ミーン・ガールズ』
- クリント・ラモス『アイランド』
- アン・ロス『回転木馬』
- デヴィッド・ジン『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ』
- キャサリン・ズーバー『マイ・フェア・レディ』(OCC/DD)
『マイ・フェア・レディ』のキャサリン・ズーバーが最高でした。身分の差やイライザの成長を語る力があった。
- ケヴィン・アダムス『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ』
- ジュールス・フィッシャー、ペギー・アイゼンハワー『アイランド』(DD)
- ドナルド・ホールダー『マイ・フェア・レディ』
- ブライアン・マックデヴィット『回転木馬』
- タイラー・マイコロウ『バンズ・ヴィジット(迷子の警察音楽隊)』
ここはちょっと自信がないです。『スポンジ・ボブ』はもちろん有力だし、『アイランド』という候補もいる。でも、シンプルなセットを効果的に照らす『バンズ・ヴィジット』が好きだったので『迷子の警察音楽隊』をピック。
- カイ・ハラダ『バンズ・ヴィジット(迷子の警察音楽隊)』(DD)
- ピーター・ハイレンスキ『アイランド』
- スコット・レーラー『回転木馬』
- ブライアン・ロナン『ミーン・ガールズ』
- ウォルター・トラーバック、マイク・ドブソン『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ』
ここは『バンズ・ヴィジット』と『スポンジ・ボブ』の2択かなぁ。今シーズンから復活したカテゴリーで知識不足ですが、パーカッショニストが頑張っていた『スポンジ・ボブ』をピック。そういえば、テレビ番組の出演時もちゃんと生でやってたな・・・・・・。
- クリストファー・ガッテリ『マイ・フェア・レディ』
- クリストファー・ガッテリ『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ』
- スティーヴン・ホゲット『ハリー・ポッターと呪いの子』
- ケイシー・ニコロウ『ミーン・ガールズ』
- ジャスティン・ペック『回転木馬』(OCC/DD)
今シーズンは本格的なダンスシーンがある作品が少なめ。『回転木馬』のジャスティン・ペックに。
あと、『マイ・フェア・レディ』と『スポンジ・ボブ』という対極にあるような2つの作品を手掛けたクリストファー・ガッテリにも拍手。
- ジョン・クランシー『ミーン・ガールズ』
- トム・キット『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ』
- アンマリー・ミラッツォ&マイケル・スタロビン『アイランド』
- ジャムシールド・シャリフィ『バンズ・ヴィジット(迷子の警察音楽隊)』
- ジョナサン・チューニック『回転木馬』(OCC/DD)
ここは『バンズ・ヴィジット』と『回転木馬』の2択。音楽系に関しては『バンズ・ヴィジット』が好きなので、『バンズ・ヴィジット』をピック。
最後に少し視点を変えて、作品ごとに有力なカテゴリーを整理しておきたいと思います。
まず、『バンズ・ヴィジット(迷子の警察音楽隊)』は、作品賞と楽曲賞と主演女優賞に関しては本命。演出、編曲はかなりいい線を行っています。何も獲れないということはあり得ないし、重要なカテゴリーをいくつかは押さえられそう。
12部門にノミネートされいる『スポンジ・ボブ』も個人的には報われてほしいと思っています。テクニカル系のどこかの部門では獲れそうな気がしますが、それだけでは残念ながら大幅なチケットの売上げアップは見込めないので、ほしいのは主演男優賞と演出賞。あと助演男優賞もチャンスがある!このあたりの部門を獲れたら、少し明るい未来が見えてくる気がします。
同じく12部門にノミネートされている『ミーン・ガールズ』は、脚本賞以外の受賞はほぼ絶望的。なんとなく受賞ゼロで終わる気がしていますが、すでに大人気なので問題なし。授賞式で良いパフォーマンスをしてファンを増やすことができれば、ブロードウェイも米国ツアーもバッチリです。
『アナと雪の女王』は受賞がほぼ絶望的なので、パフォーマンスを頑張ってチケットを売ることに専念すると思います。みんなが大好きな曲を歌うのか、変化球を持ってくるのか、選曲がものすごく気になる!
『マイ・フェア・レディ』はリバイバル作品賞の有力候補。あと、衣装デザイン賞を獲るでしょう。『回転木馬』には助演女優賞と振付賞を。『アイランド』は受賞が厳しそうな雰囲気ですが、パフォーマンスでは災害関係の団体のボランティアを舞台上に招待し、イマーシブな舞台を再現するそうです。
最後に個人的な注目ポイントを。
やはりよい意味で気になるのが主演男優賞と演出賞と装置デザイン賞の行方。消去法でなく、「あれもよかったなー」「でもこれも面白かったなー」と悩めるカテゴリが好きなので。
あと、『バンズ・ヴィジット(迷子の警察音楽隊)』がどれくらいの部門を獲るかは、とても興味深いところ。昨シーズンは良い作品がたくさんあると言われながらも『ディア・エヴァン・ハンセン』が多くの部門で受賞しました。今シーズンは、昨シーズンと同じような感じになるのか、それとももう少し他の作品と分け合うことになるのか、どっちかな・・・・・・。
今シーズンは興行的に大ヒットと呼べる作品が少なく、一昨シーズンの『ハミルトン』や昨シーズンの『ディア・エヴァン・ハンセン』のようなレベルで人気を集めている作品がほとんどありません。健闘しているのは『ミーン・ガールズ』くらい。
トニー賞の結果によって『ハミルトン』や『ディア・エヴァン・ハンセン』のような作品がこれから誕生するということはありませんが、ブロードウェイでの残された上演期間や売上げ、米国内ツアーの売上げ、そして海外への売り込みやすさは結構変わってくるので、授賞式はドキドキです。
当日を楽しみに待ちたいと思います!