ブロードウェイの『アラジン』で開幕当初からジーニー役を務めたジェームズ・モンロー・アイグルハート(James Monroe Iglehart)が、2017年2月19日をもってカンパニーに別れを告げます。すでに発表になっているとおり、4月中旬からは『ハミルトン』でラファイエット/トーマス・ジェファーソン役を演じます。
このラファイエット/トーマス・ジェファーソンという役は、初演したダヴィード・ディグス(Daveed Diggs)の個性によってかなりハードルが高くなっていた役です。
ラファイエット/トーマス・ジェファーソン役(以下ジェファーソン役)を初演したダヴィードは、その存在自体がとてもユニークで面白い人で、普通のミュージカル俳優とはちょっと違った独特なオーラを振りまいていました。それもそのはず。もともとラッパーだった彼にとって、『ハミルトン』はブロードウェイデビュー作どころかミュージカルデビュー作。トニー賞関係のプレスで「自分が知ってるミュージカルは『ハミルトン』だけ」なんて冗談を言っていたくらいでした。
そんなダヴィードが初演したジェファーソン役は、彼の持ち味を活かして作られており、そのレアなテイストのパフォーマンスをブロードウェイ中が気に入っていたのです。『ハミルトン』から3人がノミネートされたトニー賞助演男優部門でも、最終的に受賞したのはダヴィードでした。
『ハミルトン』のオリジナルキャストが順番にカンパニーを去って行くとき、誰もが心配したのがジェファーソン役の後任者。「どんな人なら彼の代わりが務まるのだろうか?」「彼の後を継ぐ人がいちばん難しい」というファンの予感は的中し、2016年7月15日を最後にダヴィード・ディグスが『ハミルトン』を去った後、ジェファーソン役の後任者はすぐには発表されず、当時のアンダースタディ3名が交代で出演していた時期がありました。最終的にその中の1人だったセス・スチュワートが正式なキャストになると発表されたのは9月末のこと。とても時間がかかりました。
ジェームズ・モンロー・アイグルハートは、ダヴィード・ディグスとジェファーソン役について次のように話しています。
Daveed Diggs originated the part and “made it what it is,” Mr. Iglehart said.
ダヴィード・ディグスがラファイエット/トーマス・ジェファーソンという役を最初に演じて「あのように作り上げた」とアイグルハート氏は話した。
Joshua Barone, The New York Times, January 17, 2017
まさに、ジーニーという難役を自分のものにした人だからこそ言える言葉。でも、新ジェファーソンになることに対して、結構自信はあるみたいです。(ジェームズ・モンロー・アイグルハートもジーニー役でトニー賞助演男優部門を受賞しています。)
ダヴィード・ディグスとジェームズ・モンロー・アイグルハートは似ても似つかないルックスで、普通だったら「え?!違いすぎ!」と思うところですが、ジェームズ・モンロー・アイグルハートがダヴィードと同じくらい生き生きと歌って踊っている姿がなぜか想像できる・・。(下の動画の0:13くらいから、派手な赤紫色の衣装を着てはじけているのがダヴィード・ディグスです。)
ダヴィードもこのキャスティングを喜んでいます。完全に意表をついた「やられた感」のあるキャスティング。絶対面白い。
My Brother @jamesmiglehart is going to be a revelation as Lafayette/Jefferson! #getready #TheWorldWillNeverBeTheSame https://t.co/CuCiftG64z
— Daveed Diggs (@DaveedDiggs) 2017年1月17日
完売公演でこんなに面白いキャスティングをされてもチケットの手配ができません・・。4月中旬以降のチケットを持っている人たちが大喜びしているのが目に浮かびます。早く観た人の感想を聞きたいです。